おしゃれで丈夫なビジネスバッグ(メンズ)『FELISI(フェリージ)のブリーフケース 9841​』 

フェリージのブリーフケース 9841


ブリーフケースに求められる条件として、堅牢性と軽さがあると思う。

ブリーフケースといえば軽さ寄りのナイロン派と、堅牢性寄りの鞄派(とゼロハリ、リモワのアタッシュケース派)とがあり、両者は棲み分けがあったように思われる。そんな状況の中、“革とナイロンのコンビ”を打ち出したのが『フェリージの9841』であり、現在、ビジネスやカジュアルどちらでもよく見られる革×ナイロンの鞄の元祖といえる存在だ。

フェリージは今となってはさして珍しい存在ではないが、当時は取扱店がほとんどなく、確実に買えそうなのが青山の『ラ・ガゼッタ1987(FIGO)』しかなかった。

『ロイドフットウェア』や『ラコタ』に近いという理由で『ラ・ガゼッタ』へ初めて足を踏み入れた時の驚きを今でも鮮明に覚えている。入店するや否や革の匂いが強く鼻腔を刺激し、イタリア丸出しの見たこともない赤い車が店の中にディスプレイされていた。学生だった私にとっては圧倒的に大人の空間であった。

店の左壁側に9841が陳列されていた。
弧を描く革のハンドル、中央に配されたエンブレム、ビビッドな革のパイピング、山吹色のリモンタナイロン。その端正な佇まいに完全に魅了され、なけなしのバイト代ですぐに購入した。

その後、FIGOからレセプションへの招待状が届いた。
貧乏学生がピンポイントで買っただけなのに。
それくらい顧客が少なかった。

フェリージのブリーフケースはここがスゴイ!

その後フェリージは一時代を築いたわけだが、実際使ってみるとその良さはすぐに理解できる。
先のナイロン派と鞄派の互いの欠点を見事にクリアしているからだ。

革とナイロン、利便性だけで考えれば、鞄にとってはナイロンの方が好ましい。
軽くて十分な耐久性もあり、撥水性もある。

しかし、ナイロンという素材はビジネス、フォーマルな場においてそぐうものかと問われれば、歯切れよく回答できない点が、両者を対決させていた原因であろうと想像できる。

そこでフェリージでは、カジュアルになりがちなナイロンという素材を、高級感のあるリモンタナイロンを採用しつつ上質な革でパイピングをすることで、フォーマル感を演出したのだ。

鞄を床に置いたときに自立するカチっとしたブリーフケースもいいが、個人的にはフェリージのくたっとした感じのかわいらしさと、折り目正しいなかにかすかに感じる色気に良さを感じているが、フェリージを薦める理由はそのルックスだけでない。

フェリージの作りはシンプルで、鞄の中に間仕切りがない。
多くの鞄には間仕切りを設けられているが、実際は思ったようにモノが入れられなくて結構邪魔だったりする。
思い切って間仕切りをなくしたお蔭で収納の自由度が高い。

また、フェリージの革は長年の使用によりさらに魅力を増す。
革製品の経年変化による変色は、よく言えば“味が出た”ということなのだが、枯れた魅力というより、しみったれた感じになってしまうものも多い。
フェリージの革は艶っぽいアメ色をたたえ、革の小傷も模様のように映る。
これこそ“エイジング”である。

フェリージはエイジングを推奨したくなるほど見た目以上に耐久性が高い。
その理由は革の質だけではなく、縫製の強度も著しく高い。ブリーフの形が崩れるほど重いものを入れてもほつれたりする気配は微塵もない。

加えてベースの素材であるリモンタナイロンは、汚れた場合も中性洗剤やベンジンで洗い、型を整えるとまた綺麗な光沢を取り戻す。華奢なのに意外とタフ。リモンタナイロンの面目躍如である。

フェリージのブリーフケース9841は持ち手が痛い

あえて9841の欠点を挙げれば、長時間ハンドルを握っていると思いのほか痛いところか。

二つのハンドルをくっつけると厚みが出て、普通の太さになるという設計だが、しっかり握り続けていないと二つのハンドルが分かれて、手のひらに刺さる。
のちにこのハンドルをレディスライクな丸ハンドルに切り替えた『1845』や上位モデルの『8637』がリリースされた。おそらく今はこれが主流のモデルだろう。

数多くのフォロワーを生み出したフェリージ。
スタイルこそ真似されているが、そのクオリティはまだまだ比肩するものはないと思われる。ユーロ高以降、為替レートが変動しても定価が右肩上がりで高騰しているにも大きな欠点だが、モノとしてはとりあえずフェリージ、間違ってません。

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